第七話執筆者:震電J7
ヘル・ビッグバ−ドを倒し、イル・ミグラに平和を取り戻した六人は、一躍、『英雄扱い』であった。
町の人々の歓迎を受け、何とも恥ずかしい凱旋を行った。
レオン、シンデン、ユウの三人は恥ずかし気に、そして七誌、ゼクター、彗星の三人は楽し気に・・・。
「ふう・・・、何もパレ−ドみたいな事までやらなくても・・・。」
宿のベッドに転がり、レオンが愚痴をこぼす。
「私も疲れた・・・。戦闘より疲れたぞ・・・。」
「・・・全くだ・・・。」
シンデンとユウも同じく愚痴をこぼす。
「ま、そんだけ歓迎されてるってことだ。なぁ?」
「そうゆう事♪」
七誌、ゼクターの言葉に彗星がうんうんと頷いた。
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翌日、シンデンとレオンはポーンを連れ、戦車工場『鉄の穴』を訪れた。
「大尉、シンデンさん、ここに来て・・・、何するんすか?」
ポーンが二人に尋ねる。
「今日はお前のバギ−の改良をしようと思ってな。シンデンと話して決めたんだが、お前のバギ−にサンダースト−ムを搭載する。」
レオンがポーンに話す。
「え・・・!!でも、サンダ−スト−ムなんて何処にあるんすか?」
ポーンが再びレオンに尋ねる。
「私の『ストライカ−』から移植するんだよ。君の『ザクT』の装備では今後の戦闘に対応し切れないだろうからね・・・。」
そう言ってシンデンが笑った。
シンデンはストライカ−に取り付けられたデリッククレーンを操作し、サンダ−スト−ムをザクTに移植する。
「・・・本当にいいんすか?シンデンさん・・・。」
ポーンがシンデンの顔色を窺う。
「ああ、構わんよ。『ストライカ−』は二門、機銃を積んでるからね。それに、新たに積みたい装備があるんだ。」
「新たに積みたい装備っすか・・・?」
ポーンがシンデンに尋ねる。
「ああ、バ−ナ−ドラゴンだよ。生物系のモンスターには絶大な効果があるからね。」
「そうっすか・・・。それなら遠慮なく貰いますね♪」
ポーンは嬉しそうに笑った。
「お〜〜い!こっちも終わったぞ〜!!」
鉄の穴から『ロー・アイアス』が走り出して来る。そしてレオンがひょいと身軽に戦車から降りた。
「レオン、君は何処をいじったんだ?」
シンデンがレオンに話し掛ける。
「俺?俺はコンピュ−タ・ユニットの換装だ。ハンタ−オフィスに申請を出しておいた『SOLOMON2』が届いてたからね。」
「へぇ・・・、よく手に入ったな。」
シンデンが感心した様に話す。
「ついでにポーンのザクTに俺の『アクセルノイマン』を搭載するように言ってきた。」
「え!?あ、ありがとうございます、大尉!!」
ポーンには嬉しい一日であった。
「は〜〜〜っ♪」
キュッ、キュッ、キュッ♪
ポーンは楽しそうに『ザクT』を磨いている。
ポーンの『ザクT』の新装備、サンダ−スト−ムが夕日を反射し、輝いていた。
シンデンの『ストライカ−』のボンネット上には新たにバ−ナ−ドラゴンが装備されていた。
『ストライカ−』は、普通の野バスと違い、前部にボンネットのある『ボンネットバス』である。
他のメンバ−の戦車にも特殊な車両が多く、レオンの『ロー・アイアス』はエイブラムスの後継車である”エイブラムスU”の原型機で、装甲もかなり特殊な合金が使われている。
七誌の『ハ−スニル・エイト』はその存在自体が”幻”とまで言われた車両であるし、ユウの『ブラックウルフ』はブラド社が製造していた『ウルフ』タイプ戦車のだ。
それも通常の『ウルフ』タイプとは異なり、メルカバ戦車と同じ機構が備わっている。
車内から砲塔に備わっている迫撃砲が撃てる上に、IFVのような働きも出来る。
ゼクタ−の『スレイプニル』は完全なハンドメイド戦車で、この世界のどこかに居るというマッドサイエンティスト(狂った科学者)”バト−”が造った『ティ−ガ−』という車体であった。
ごく一般的に見られるのはポーンのバギ−『ザクT』くらいのものである。
まさに【走る博物館】といった風情であった。