第六話

執筆者:震電J7 

 

崩れたコロナビルの残骸を乗り越え、六台の戦車はイル・ミグラに向かう。

 

「ここがイル・ミグラ。『鉄の穴』という戦車専門の店が・・・、何だ・・・?」

 

イル・ミグラの町はなぜか静まりかえっていた。

 

「人の姿が見えないな・・・。これはどういう事だ・・・?」

 

六人は戦車を降り、徒歩で町の中心へと向かおうとした。

 

「待て!!多分、アイツのせいだ!!」

 

七誌が叫び、上空を指差した。そこには巨大な鳥が羽ばたいていた。

 

「あれは・・・、ヘル・ビッグバードだ!!こいつは子分のピッケルバードを呼ぶぞ!!」

 

レオンの言葉に、全員が武器を構える。

ヘル・ビッグバードは悠然と上空をホバリングしていた。

「クァーーーーー!!」

 

突然、ヘル・ビッグバードが雄叫びを上げる。すると、周囲の空に無数のピッケルバードが現れた。

 

「くそぅ!呼びやがった!!」

 

シンデン、七誌、レオンの三人は上空の敵に撃ちまくる。

ユウはショットガン、美雪はランチャーをヘル・ビッグバードに撃ちこむ。

 

「とっとと落ちやがれ!!」

「あわわわわ・・・、お、落ちろーー!」

 

ミニバルカンを撃つゼクターの横でポーンがひ牡丹のドスを振り回し、近寄ってくるピッケルバードを撃退していく。

その時、四羽のピッケルバードがポーンに襲い掛かった。

 

「ひ、ひ〜〜〜!!」

 

ポーンが悲鳴を上げる。

 

「ポーン!!」

 

レオンは瞬時に狙いを変え、『PSG-1改』で三羽を瞬時に撃ち抜く。

正に一瞬の技であった。

 

「ポーン二等兵、ここは戦場だ!気を抜くな!」

「そうだ。気を抜くと命取りになる・・・。」

 

レオンに追いついたシンデンが残る一羽を愛用の電撃ムチで絡め取る。

 

 バシィ!!

電撃を食らったピッケルバードが墜落した。

 

「ポーン、こいつを使え。」

そう言って、シンデンはポーンにSMGグレネードを渡した。

 

「おら、落ちやがれ!!」

 

七誌、ユウ、美雪の二人と一匹はヘル・ビッグバードを相手に、苦戦を強いられていた。

 

「・・・、仕方ない、奥の手・・・。」

 ドン!・・・、ドガッ!!

「なな、何だ!?」

 

七誌がユウの攻撃に驚く。

ユウは自らの左手を飛ばしたのであった。

ヘル・ビッグバードは不意の攻撃にわずかな隙を見せた。

 

「今だ、行けぇ!ゼクター!!」

 

シンデンが手を組み、ヒザをつく。

その手を足場に、ゼクターは鳴瀬を携え上空に投げ上げられた。

 

「いい加減に……くたばりやがれ!!」

 

 ズバァッ!!

『鳴瀬』の斬撃に、ヘル・ビッグバードはその厚い装甲を切り裂かれ、遂に力尽きた。

 

「ふう・・・、やっと倒せたな。」

 

「ああ。しかし、ユウの攻撃には驚いたぜ・・・。」

 

シンデンと七誌が汗を拭きながら話す。

 

「・・・。俺は・・・、バイオニック・ソルジャーだ・・・。グラップラーの奴らに改造された・・・。洗脳される前に逃げ出したんだ・・・。」

 

ユウが悲しげに語る。

 

「もう・・・、俺はここに居られない・・・。世話になった・・・。」

 

ユウが『ブラックウルフ』に戻ろうとする。

 

「バイオニック・ソルジャーだから嫌われる、とでも思ったか?」

 

シンデンがユウに話し掛ける。

 

「俺達がそんな事で『仲間』を見放すと思うか・・・?」

 

今度はレオンがユウに尋ねた。

 

「まあ、驚きはしたが、バイオニック・ソルジャーってだけで、 『仲間』 は『仲間』だろうが。んな事、気にすんな。」

 

七誌もレオンの後に続ける。

 

「そう言う事♪」

 

ゼクターの横で彗星が『うんうん』と頷く。

 

「あれ?お前ら、いつ仲間になったんだ?」

 

七誌がゼクターとポーンに向かって言う。

 

「おいおい・・・。」

「そんな・・・、殺生(せっしょう)な〜〜・・・。」

 

ゼクターとポーンの情けない声に一同が笑いを漏らした。ユウと共に・・・。



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