第五話

執筆者:震電J7 

 

 ゴゴゴゴゴゴ・・・

 

翌朝、四人と一匹はフリーザを出発し、次の町『イル・ミグラ』へと向かう。

 

「は~、マンモスタンクが倒されてる、とはね・・・。奴の賞金、稼ぎ損ねたぜ。」

 

『ハースニル・エイト』の中で七誌がぼやく。

 

「倒されたのはかなり前の事だよ。奴を倒したハンターは、結局バッド・バルデスまで倒したらしい・・・。」

 

レオンが七誌に無線で答える。

 

「バッド・バルデスと言やぁ、”最強”とか言われた賞金首じゃねえか。は~ん、大したもんだ・・・。」

「そうだな。しかし、ここ最近また賞金首になるモンスター達が増えてるから、賞金には困らんだろう。」

「・・・・・・そうだな。」

 

今度はシンデンとユウが答えた。

 

「レオン、確かここは道が切れてなかったか?」

 

シンデンがレオンに尋ねる。

 

「前に”ツマク”って奴がコロナビルを爆破してな、残骸で道が出来た。」

「それなら通れるな・・・。ところで、あの前方の洞窟は何だ?」

 

シンデンが再びレオンに尋ねた。

 

「あれは・・・、『渚の洞窟』だな。」

 

レオンが前方を見ながら答えた。

 

『少し、寄り道して行こう。』

 

シンデンの提案に、一行は『渚の洞窟』に入る事になった。

 

「錆びないかな・・・。塩水は戦車の”敵”だからな・・・。」

 

レオンが呟いた。

 

「後で洗車しよう。手洗いになるが・・・。」

「めんどくせ~な~・・・。」

 

七誌も愚痴をこぼす。

 

「・・・・・・。”戦車を洗車する”・・・。ふっ・・・。」

「クゥ・・・。」

 

ユウの呟きに、洞窟内が静かになった。

 

「・・・!、何か金属反応がある。動いてるぞ!」

 

レオンが静けさを破った。

レオン達は下の階層へと下りていった。

すると、第四層に着いた時、奥の方から明かりと地面を掘る音、そして話し声が聞こえてきた。

 

「何だ?、誰がいるんだ?」

 

七誌が顔を出す。

 

「二人、だな・・・。何か探してるようだ・・・。」

 

シンデンが目を細めて言う。

その時、明かりがこちらを指し、男の叫ぶ声が聞こえてきた。

 

「誰か、そこにいるのか!?」

 

電灯を照らし、男がこちらに叫ぶ。

 

「警戒しなくていい!ポブレ・オブレ警備隊のレオン・ハルトだ!」

 

レオンが身を乗り出し、二人組に叫んだ。

 

「レ、レオン大尉!?どうしてここに!?」

 

どうやら一人の男はレオンの事を知っている様であった。

 

「その声は・・・、ポーン!?ポーン二等兵!?」

 

これにはレオンも驚いた様であった。

 

「紹介するよ。ポーン二等兵、俺の部下だ。一応、ソルジャー見習いだ。」

「ポーン二等兵であります!宜しくお願いします!」

 

ポーンが元気に挨拶した。

 

「馬鹿!洞窟で思い切り叫ぶ奴があるか、声が響いてモンスターに見つかるぞ。」

「す、すいません・・・。」

 

シンデン達が笑う。

 

「で、彼は・・・?」

 

レオンがもう一人の方を向いた。

 

「あ、この人はアール・ロンバルディアさん。危ない所を助けて頂いたんです。」

「そうか・・・、すまない。部下が世話になった。」

 

レオンがアールに頭を下げる。

 

「いいって、いいって。気にしなさんな。ここに来る途中でついでに助けただけだよ。」

 

そう言って、左手をヒラヒラさせる。

 

「・・・。アンタの左手、義手か・・・。」

「ああ、左目も義眼だよ。ついでに言うと『アール・ロンバルディア』って言うのは偽名。本名はゼクター・V・レイセンって言うんだ。」

 

アール=ゼクターがかっ達に笑う。

 

「そうか・・・。でも、なぜ偽名を使う必要があるんだ?」

「それは・・・、まぁ、イイじゃないか。ところで、アンタ達の名前は?」

 

今度はゼクターが四人に尋ねた。

その後、四人はそれぞれに自己紹介を済ませ、再びゼクターに質問をぶつける事にした。

 

「ゼクター、君はここで何をしていたんだい?」

 

シンデンがゼクターに尋ねる。

 

「おう、この洞窟に戦車が埋まってるって、上のじい様に聞いてな。一丁、掘り出してやろうかと思ってな。」

 

上を指差し、ゼクターが胸を張って説明した。

「・・・、確かこの洞窟の戦車は掘り出されたと聞いたが・・・?」

 

レオンがゼクターに話す。

 

「えっ・・・。」

 

ゼクターは固まってしまった。

 

「あ~、もう!無駄足だった!」

 

ゼクターは愛車の戦車『スレイプニル』のボディをバンバン叩く。

彼は洞窟を出てからも叫び続けていた。

 

「残念だがね・・・、仕方が無いさ。掘り出し物は早い者勝ちだからね。」

 

シンデンが苦笑する。

 

「僕の『ザクⅠ』は廃工場で見つけたんですよ♪」

 

彗星が嬉しそうに愛車のバギ-、『MSー05ザクⅠ』を撫でる。

 

「確か・・・、大昔のアニメか何かのロボットの名前だったかな・・・?」

「ええ、そうです。よく知ってますね。」

 

シンデンの答えに、ポーンはさらに嬉しそうな顔をした。



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