執筆者:震電J7
ゴゴゴゴゴゴ・・・
翌朝、四人と一匹はフリーザを出発し、次の町『イル・ミグラ』へと向かう。
「は~、マンモスタンクが倒されてる、とはね・・・。奴の賞金、稼ぎ損ねたぜ。」
『ハースニル・エイト』の中で七誌がぼやく。
「倒されたのはかなり前の事だよ。奴を倒したハンターは、結局バッド・バルデスまで倒したらしい・・・。」
レオンが七誌に無線で答える。
「バッド・バルデスと言やぁ、”最強”とか言われた賞金首じゃねえか。は~ん、大したもんだ・・・。」
「そうだな。しかし、ここ最近また賞金首になるモンスター達が増えてるから、賞金には困らんだろう。」
「・・・・・・そうだな。」
今度はシンデンとユウが答えた。
「レオン、確かここは道が切れてなかったか?」
シンデンがレオンに尋ねる。
「前に”ツマク”って奴がコロナビルを爆破してな、残骸で道が出来た。」
「それなら通れるな・・・。ところで、あの前方の洞窟は何だ?」
シンデンが再びレオンに尋ねた。
「あれは・・・、『渚の洞窟』だな。」
レオンが前方を見ながら答えた。
『少し、寄り道して行こう。』
シンデンの提案に、一行は『渚の洞窟』に入る事になった。
「錆びないかな・・・。塩水は戦車の”敵”だからな・・・。」
レオンが呟いた。
「後で洗車しよう。手洗いになるが・・・。」
「めんどくせ~な~・・・。」
七誌も愚痴をこぼす。
「・・・・・・。”戦車を洗車する”・・・。ふっ・・・。」
「クゥ・・・。」
ユウの呟きに、洞窟内が静かになった。
「・・・!、何か金属反応がある。動いてるぞ!」
レオンが静けさを破った。
レオン達は下の階層へと下りていった。
すると、第四層に着いた時、奥の方から明かりと地面を掘る音、そして話し声が聞こえてきた。
「何だ?、誰がいるんだ?」
七誌が顔を出す。
「二人、だな・・・。何か探してるようだ・・・。」
シンデンが目を細めて言う。
その時、明かりがこちらを指し、男の叫ぶ声が聞こえてきた。
「誰か、そこにいるのか!?」
電灯を照らし、男がこちらに叫ぶ。
「警戒しなくていい!ポブレ・オブレ警備隊のレオン・ハルトだ!」
レオンが身を乗り出し、二人組に叫んだ。
「レ、レオン大尉!?どうしてここに!?」
どうやら一人の男はレオンの事を知っている様であった。
「その声は・・・、ポーン!?ポーン二等兵!?」
これにはレオンも驚いた様であった。
「紹介するよ。ポーン二等兵、俺の部下だ。一応、ソルジャー見習いだ。」
「ポーン二等兵であります!宜しくお願いします!」
ポーンが元気に挨拶した。
「馬鹿!洞窟で思い切り叫ぶ奴があるか、声が響いてモンスターに見つかるぞ。」
「す、すいません・・・。」
シンデン達が笑う。
「で、彼は・・・?」
レオンがもう一人の方を向いた。
「あ、この人はアール・ロンバルディアさん。危ない所を助けて頂いたんです。」
「そうか・・・、すまない。部下が世話になった。」
レオンがアールに頭を下げる。
「いいって、いいって。気にしなさんな。ここに来る途中でついでに助けただけだよ。」
そう言って、左手をヒラヒラさせる。
「・・・。アンタの左手、義手か・・・。」
「ああ、左目も義眼だよ。ついでに言うと『アール・ロンバルディア』って言うのは偽名。本名はゼクター・V・レイセンって言うんだ。」
アール=ゼクターがかっ達に笑う。
「そうか・・・。でも、なぜ偽名を使う必要があるんだ?」
「それは・・・、まぁ、イイじゃないか。ところで、アンタ達の名前は?」
今度はゼクターが四人に尋ねた。
その後、四人はそれぞれに自己紹介を済ませ、再びゼクターに質問をぶつける事にした。
「ゼクター、君はここで何をしていたんだい?」
シンデンがゼクターに尋ねる。
「おう、この洞窟に戦車が埋まってるって、上のじい様に聞いてな。一丁、掘り出してやろうかと思ってな。」
上を指差し、ゼクターが胸を張って説明した。
「・・・、確かこの洞窟の戦車は掘り出されたと聞いたが・・・?」
レオンがゼクターに話す。
「えっ・・・。」
ゼクターは固まってしまった。
「あ~、もう!無駄足だった!」
ゼクターは愛車の戦車『スレイプニル』のボディをバンバン叩く。
彼は洞窟を出てからも叫び続けていた。
「残念だがね・・・、仕方が無いさ。掘り出し物は早い者勝ちだからね。」
シンデンが苦笑する。
「僕の『ザクⅠ』は廃工場で見つけたんですよ♪」
彗星が嬉しそうに愛車のバギ-、『MSー05ザクⅠ』を撫でる。
「確か・・・、大昔のアニメか何かのロボットの名前だったかな・・・?」
「ええ、そうです。よく知ってますね。」
シンデンの答えに、ポーンはさらに嬉しそうな顔をした。