ゴゴゴゴゴゴ・・・・・。
先頭を走るレオンのエイブラムス『ロー・アイアス』が勢い良く土を跳ねる。 そしてシンデンの『ストライカー』、七誌の『ハスニール・エイト』が続く。 装甲値の低いストライカーを守るような形で組まれた隊列であった。
「なぁ、レオン。これから何所にいくんだ?」
七誌が無線でレオンに尋ねる。
「オ−ドリーだ。ここからならオ−ドリーが一番近いんだ。」 「でも、あそこには巨大な砲台があるハズだが・・・。」
今度はシンデンがレオンに話す。
「大丈夫、リモコンで機能を停止できる。何せ警備隊が設置した砲台だからね。」
そう言ってレオンがリモコンを操作し、砲台の機能を一時停止した。
「なるほど、これなら安心して通れるな。」
砲台の下を通り、湖の外周を回り込む。
「俺が来て正解だっただろ?」 「そうだな。もしかしたら砲台を破壊しなければならない所だった・・・。」
シンデンが納得した様に頷く。
「二人とも、ノンキに話してる暇は無い様だぜ、敵さんのお出まし、だ!」
ズドーン!!
ハスニール・エイトが225mmヒュドラを敵の中心に叩き込む。
「85mm自走砲とトレ−ダー殺しか、大した敵じゃあ無いが、なんて数だ・・・。」
見ただけでも20台近くがひしめいていた。
「こういう時は・・・。」
ドン!!シュルルルル・・・、バッ!ドドドドドドッ!! シンデンが特殊砲弾の炸裂弾を発射した。一撃で次々と敵戦車が破壊されていく。
「よし、俺も!」
バシューーーーーッ!!ボワッ!! ロー・アイアスに搭載されたサンバーンXXが強烈な閃光を放った。
「オラオラァ!!」
ババババババ!!バリバリバリ!! 七誌は副砲の緋牡丹バルカンとサンダーストームを打ちまくる。
・ ・ ・ ・ ・ 10分後、20台以上いた戦車郡はそのほとんどを蹴散らされていた。
「ふう・・・、なんとか片付いたな。」
七誌がストライカーの破損した22mmバルカンを直しながら話す。
「なぜかこの辺りは敵が多い・・・。だから砲台を設置したんだ。」
レオンが七誌に答える。
「この辺に何かあるんだろうか・・・。」
シンデンが砲台の方向を眺めながら言った。
レオン・七誌・シンデンの三人はその後も戦闘を繰り返し、何とか次の町、オ−ドリーにたどり着いた。 三人は宿に向かい、部屋を取る。そして、汗を流した後、酒場へと向かった。
「ふえ〜、さすがにザコでも数が多いと疲れるな〜。」
そう言って、七誌が椅子にドカッと座る。 「ああ。何だか最近、モンスターも強くなってるが気する・・・。」 「それは私も気になっていたんだ・・・。」
レオン、シンデンも椅子に腰掛ける。
「何だか知らんが、かかって来たら叩くだけさ。親父、ごくらくパンチを頼む!!」
七誌が店のマスターに注文する。その姿にレオンとシンデンは笑みを漏らした。
三人は酒場を出て、戦車装備の店がある建物に向かった。 ここには三人の戦車装備を上回る装備は無い。 タイルパックなどの予備装甲、特殊砲弾などの補充が目的であった。
「二人はどんな特殊砲弾を積んでるんだ?」
レオンがシンデンと七誌に尋ねる。
「俺はホローチャ−ジ、爆裂弾、ナパーム弾。他に積んでるぜ。」 「相変わらず爆発系の好きな奴だ・・・。シンデンは?」
レオンは振り向いてシンデンに尋ねる。
「私はホローチャ−ジ、パニック弾、爆裂弾、麻痺ガス弾、徹甲弾、セメント弾、ナパーム弾、冷凍弾、・・・それから・・・」 「・・・。アンタは砲弾屋か・・・。」
レオンは溜め息を漏らした。
オ−ドリーを出た三人は、一路、ロッコの町へと向かう。
「レオン、ロッコには確か、シャシーの改造屋が居たな?」
シンデンがレオンに尋ねる。
「ああ、居るよ。何か改造でも・・・、うわっ!!」
ゴゴゴゴゴ・・・・・! その時、突然地面が揺れ出した。
「じ、地震だ!!」
三人は戦車を止め、揺れが止むのを待った。 しばらくすると揺れは収まり、三人は安堵の息をつく。
「ふう、驚いたぜ・・・。」
七誌が呟いた。
「地震ぐらいで驚くことは無い。」 「ワゥ!」
突然、三人の後ろから声が掛けられた。 三人が振り返ると、そこには一匹の犬を連れ、真っ黒な戦車に乗った青年がいた。 突然現れた青年は、戦車を降り、七誌達の前に立つ。
「この辺りで『205mmひ牡丹』の話を聞いたことは無いか・・・?」
唐突(とうとつ)に青年が尋ねてくる。
「すまないが、その前に聞きたい。君は誰だい?」
シンデンが落ち着いた声で話す。
「・・・ユウ・・・。そう呼ばれている。コイツは美雪。僕の、友達・・・。」 「ユウ・・・?どこかで聞いた名だ・・・。」
名前を聞き、レオンが何かを思い出そうとしていた。 (ユウ・・・、バイオニック・ドッグ・・・、黒いウルフ型戦車・・・。) しばらくして、何かを思い出したレオンが顔をあげる。
「『漆黒の悪魔』だ!そうだ、思い出した!!」
シンデン達は、突然現れた「ユウ」と名乗る青年と共にロッコへと向かう。 そして、ロッコの酒場で詳しい話を聞く事にした。
「まずは自己紹介だ。私はシンデン、ハンターだ。よろしく。」 「俺は七誌ハンター。ハンターだが、メカも出来る。」 「ポブレ・オブレ治安部隊所属、レオン・ハルトだ。君の事はハンターオフィスからの情報で聞いた事があるよ。よろしく。」
三人がそれぞれに自己紹介する。
「さっきも言ったが、僕はユウ。コイツは美雪・・・。」
ユウは美雪の喉元を撫でながら言った。
「それじゃあ、君の質問から答えよう。我々の持つ情報の中には205mmひ牡丹の情報は無い。それが答えだよ、すまない・・・。」
そう言ってシンデンが頭を下げる。
「俺もハンターオフィスのホストコンピュータに問い合わせてみたが、 205mmひ牡丹の情報は無かった。」
レオンも『お手上げ』であった。
「そうか・・・、すまなかった。」
そう言って、ユウが席を立ち上がる。
「まぁ待てよ。『ひ牡丹シリーズ』と言やぁ、”幻の装備”とまで言われるモンだ。ひ牡丹バルカンでもかなり苦労したんだ。205mmひ牡丹なんて、そう簡単に見付かる訳ないと思うぜ?」
そう言って、七誌はユウを再び席に座らせる。
「何が言いたい・・・?」
ユウが少し怒った様に言い返した。
「つまりだ、君も私達と共に来ないか、と言ってるんだよ。君一人で探すのは大変だろうし、我々も出来るだけ仲間が欲しい。互いの利害が一致しているから、悪い案では無いと思うが・・・?」
シンデンが七誌の言葉に付け加えた。
『もし、我々と来る気が有るなら、明日の朝、この酒場の建物の前で待っていてくれ。今日一日、君がどうするかを考えて欲しい。』
昨日、そう言い残して、シンデン達は酒場を後にした。三人は酒場の上の宿に泊まり、一夜を明かす。
「シンデン、ユウは・・・、来るだろうか・・・?」
起き掛け、レオンがシンデンに尋ねる。
「さぁ、な。その判断はユウに任せてある。彼が来てくれるのならかなりの戦力アップになるが・・・。」 「ま、この階段降りりゃ、解かるって。」
七誌がスタスタと階段を降りていく。そして二人もそれに続いた。
「・・・・・・。なっ?簡単に答えが出ただろ♪」 「・・・、ああ、そうだな!」
そこには一台の黒い戦車が停まっていた。愛犬・美雪と共に・・・。
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