第壱話

執筆者:震電J7

 

荒野を走る一台の野バス・・・。

『シンデン』、それがこの野バス『ストライカー』を駆る男の名であった。

彼は仲間を求め、この世界を旅している。

自分の家族の命を奪った敵(かたき)を討つために・・・。

彼が行き着いた先は”リオドラの村”。

シンデンはリオドラに向かってストライカーを走らせる。

 

「うん? 何だ、あの煙は・・・?」

 

シンデンはリオドラの異変に気付いた。

 

「村が襲われているのか・・・!!」

 

シンデンは速度を上げ、リオドラへ急ぐ。村では逃げ惑う人々であふれていた。

その姿をあざ笑う集団、『バイアス・グラップラー軍団』・・・。

彼らは村や町を襲い、人々をさらっていくのだ。

 

 ドン、ドン!!

 

そこに突然、砲撃音が連続で響いた。グラップラーの戦車がひとたまりもなく吹き飛ぶ。

 

「な、何だ!?」

 

グラップラー達は驚き、砲撃音のした方角を見る。

そこには一台の野バスが猛然と走り込んできていた。

 

「ハッ、たった一台で俺達に歯向かうつもりか!? 馬鹿が!!マドの村の時みたいに血祭りに上げてやるぜ!!」

 

グラップラー達が一斉にストライカーを攻撃する。

 ドン、ドン!! ドン、ドン!!ババババババババッ!!

グラップラーの攻撃をかわしながらシンデンも応戦する。

 

「クッ、数が多いな・・・!」

 

シンデンがそう呟いた時であった。

 ズドン!! シュルルルルルル・・・、ドーーーーン!!

一発の砲弾がグラップラーの集団の中心に落ちた。

 

「何だ!!」

 

シンデンが後方を見ると、そこには一台の真っ白な大型戦車が走り込んで来ていた。

白い大型戦車はストライカーの横に並び、通信を送る。

 

「あんた一人じゃ、あの数は無理だ。助太刀する。」

「き、君は・・・?」

「俺? 俺は『七誌』。『七誌ハンター』。よろしく・・・、なっ!!」

 

 ズドン!!

七誌の戦車が再び火を吹いた。

二人の戦車は散開し、次々とグラップラーを駆逐していく。

そして三十分の後、全てのグラップラー達は二人に倒されてしまった。

 

「ふう、何とか退治出来たな。」

「ああ、助かったよ有難う。」

 

シンデンは助太刀に入った七誌に礼を言う。

 

「いいって。こいつらは元々、好かない奴らでね。マドがやられた時は 間に合わなかったんだ。今度は潰してやったぜ。」

 

七誌はかっ達に笑う。そこに村人達が現れ、二人に礼を言った。

 

「有難うよ、二人とも。本当に助かった。」

 

現れたのは少年と少女を連れた老人であった。

 

「ワシの名はナイル。この村で修理屋をやっておる者じゃ。アンタ達の 名を問うてもよいかな?」

 

ナイルが二人に尋ねる。

 

「ええ、私はシンデン。旅の途中でここに流れ着いた者です。」

「俺は七誌ハンター。コイツで世界を廻ってる。よろしくな。」

 

二人はそれぞれ名乗りを挙げた。

 

その後、二人は村の酒場で話していた。

 

「ふ〜ん、じゃあアンタは家族の敵討ちって訳か・・・。」

 

七誌がロケットピンガをぐいっと煽る。

 

「ああ、しかし君の戦車には驚いたよ。ホワイトタイガーじゃないか。」

「へへ・・・、手に入れるのに苦労したんだぜ♪」

 

七誌は得意げに話す。

 

「それにあの命中精度は驚異的だな。百発百中だったな。」

「ああ、目が良いんだ。2Km先のメタルイーターも撃てるぜ。」

 

胸を張る七誌にシンデンは苦笑いを浮かべた。

二人は酒場を後にし、それぞれの戦車の補給を済ませる。

 

「あんたの野バス、かなりいじってあるな。」

「ん?ああ。世界中を廻ってるうちに、こうなったんだ」

「ふ〜〜ん・・・。」

 

七誌はシンデンのストライカーを見せてもらう事にした。

 

「・・・・・。」

 

しばらくストライカーを見ていた七誌が考え込んだ様な素振りをみせる。

「どうした、七誌?」

「いや、この車の装備が知ってる奴の戦車とよく似てるんだ・・・。」

 

七誌は腕を組み、シンデンに訳を説明する。

 

「知ってる奴、というのは・・・?」

「ん?ああ、レオン・ハルトって奴でね。傭兵なんだが、ハンターオフィスに気に入られてね。今は治安部隊にいるらしいんだ。」

 

そう言って七誌は笑顔をみせた。

 



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