荒野を走る一台の野バス・・・。 『シンデン』、それがこの野バス『ストライカー』を駆る男の名であった。 彼は仲間を求め、この世界を旅している。 自分の家族の命を奪った敵(かたき)を討つために・・・。 彼が行き着いた先は”リオドラの村”。 シンデンはリオドラに向かってストライカーを走らせる。
「うん? 何だ、あの煙は・・・?」
シンデンはリオドラの異変に気付いた。
「村が襲われているのか・・・!!」
シンデンは速度を上げ、リオドラへ急ぐ。村では逃げ惑う人々であふれていた。 その姿をあざ笑う集団、『バイアス・グラップラー軍団』・・・。 彼らは村や町を襲い、人々をさらっていくのだ。
ドン、ドン!!
そこに突然、砲撃音が連続で響いた。グラップラーの戦車がひとたまりもなく吹き飛ぶ。
「な、何だ!?」
グラップラー達は驚き、砲撃音のした方角を見る。 そこには一台の野バスが猛然と走り込んできていた。
「ハッ、たった一台で俺達に歯向かうつもりか!? 馬鹿が!!マドの村の時みたいに血祭りに上げてやるぜ!!」
グラップラー達が一斉にストライカーを攻撃する。 ドン、ドン!! ドン、ドン!!ババババババババッ!! グラップラーの攻撃をかわしながらシンデンも応戦する。
「クッ、数が多いな・・・!」
シンデンがそう呟いた時であった。 ズドン!! シュルルルルルル・・・、ドーーーーン!! 一発の砲弾がグラップラーの集団の中心に落ちた。
「何だ!!」
シンデンが後方を見ると、そこには一台の真っ白な大型戦車が走り込んで来ていた。 白い大型戦車はストライカーの横に並び、通信を送る。
「あんた一人じゃ、あの数は無理だ。助太刀する。」 「き、君は・・・?」 「俺? 俺は『七誌』。『七誌ハンター』。よろしく・・・、なっ!!」
ズドン!! 七誌の戦車が再び火を吹いた。 二人の戦車は散開し、次々とグラップラーを駆逐していく。 そして三十分の後、全てのグラップラー達は二人に倒されてしまった。
「ふう、何とか退治出来たな。」 「ああ、助かったよ有難う。」
シンデンは助太刀に入った七誌に礼を言う。
「いいって。こいつらは元々、好かない奴らでね。マドがやられた時は 間に合わなかったんだ。今度は潰してやったぜ。」
七誌はかっ達に笑う。そこに村人達が現れ、二人に礼を言った。
「有難うよ、二人とも。本当に助かった。」
現れたのは少年と少女を連れた老人であった。
「ワシの名はナイル。この村で修理屋をやっておる者じゃ。アンタ達の 名を問うてもよいかな?」
ナイルが二人に尋ねる。
「ええ、私はシンデン。旅の途中でここに流れ着いた者です。」 「俺は七誌ハンター。コイツで世界を廻ってる。よろしくな。」
二人はそれぞれ名乗りを挙げた。
その後、二人は村の酒場で話していた。
「ふ〜ん、じゃあアンタは家族の敵討ちって訳か・・・。」
七誌がロケットピンガをぐいっと煽る。
「ああ、しかし君の戦車には驚いたよ。ホワイトタイガーじゃないか。」 「へへ・・・、手に入れるのに苦労したんだぜ♪」
七誌は得意げに話す。
「それにあの命中精度は驚異的だな。百発百中だったな。」 「ああ、目が良いんだ。2Km先のメタルイーターも撃てるぜ。」
胸を張る七誌にシンデンは苦笑いを浮かべた。 二人は酒場を後にし、それぞれの戦車の補給を済ませる。
「あんたの野バス、かなりいじってあるな。」 「ん?ああ。世界中を廻ってるうちに、こうなったんだ」 「ふ〜〜ん・・・。」
七誌はシンデンのストライカーを見せてもらう事にした。
「・・・・・。」
しばらくストライカーを見ていた七誌が考え込んだ様な素振りをみせる。 「どうした、七誌?」 「いや、この車の装備が知ってる奴の戦車とよく似てるんだ・・・。」
七誌は腕を組み、シンデンに訳を説明する。
「知ってる奴、というのは・・・?」 「ん?ああ、レオン・ハルトって奴でね。傭兵なんだが、ハンターオフィスに気に入られてね。今は治安部隊にいるらしいんだ。」
そう言って七誌は笑顔をみせた。
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